2005-01-01から1年間の記事一覧

ゆく河の流れは 絶えずして また元の水にあらず 盆の堤を越え止め処なく溢れる続ける液体は血。ゆっくりとそれでいて力強く、決して鉄砲水のように勢いがある訳でも津波のように一時の静けさが内在している訳でもない、それは宛ら大河の如し、何者にも阻むこ…

彼女について 一

それは七年も前のことになるが、俺という固体を作り上げてきた工場が閉鎖された時、俺はまだ物事の論理なるものが理解できておらず、死という一つの人間が存在する上での過程を考えるに至ってそれらを保持する器自体を忌むべきものとして扱っていたそんな時…

安部という文体。

生まれて初めてコメントを貰ったと思ったら、村上龍と町田康と安部和重を足して割ったような文章などと言われる始末、前者二人は一つの正解、しかしながら糞安部を足された俺の心を推し量ってもらいたい。奴が芥川賞とやらを受賞して俺が批判したいというわ…

ロートレック

ある日俺が電車の中で再び「くたばれ健康法」を読んでいると、椎名さんが俺の前で奇妙なダンスを披露してくれた。訝しがる俺を尻目にくるくる回る山手線の中、椎名さんは永遠と踊り続けた。三時間ばかりが経った頃、俺は「くたばれ健康法」を読了したのと、…

かメ人間などという、この腐っている世界の中でさらに自分自身の腐敗を進行させることを心に誓ったような異能の者が作り出す或る種の掃き溜めのような場所が俺という人間を刺激して止まないのであって、その「死」についてのアブストラクトな観念を考慮する…

カインドオブ

人生菫色宛ら夢の如し或る種一時の迷い止め処無く黄緑辛うじて高鳴る鼓動苦しむ蟋蟀浮れる褒め殺し憂うは俗世の様敵は一太刀鋼鉄の春煌く春雷瞬く鞘口放つ虹彩眼は潰されるべきで芽は摘むべき女々しい狐と雄雄しい踝そして世の中語るに易し行うに難し或いは…

安楽死

医者が安楽死を患者にさせるのは正しい: T or F 面接官は俺に問うた。 人生に置き忘れた何かがあるとしたらそれはあいつだ。あいつは常に俺自身であり、俺を導くいわゆる一つの誘導灯、一心同体であり、しかしそれでいてある種の共有部分を含まない一つの存…

妄想性

生きるという或る種の感覚において、俺の意思は必然的に無視される。それは俺が特別な存在であり続ける為には―それが普遍的に自己満足だったとしても―絶対的に必要なものであって、単なる一つのツールとしての意味合いだけではなく、物事の根本原理を追求す…

悪党の墓

その時突然俺の胸の隙間から現れた百合のツボミが花開き俺を丸呑みにしたグシャ。思うに今日という日は明らかにおかしかった。何故ならば、昼も過ぎた夕闇の中、淡い着物と番傘を肩に据えた或る種の浪人とでも言える様な風体の男が俺に近づいて来たかと思う…

19.7%

屋根の上でコサックダンスを始め、足を滑らせ、そして転落し打ち所が悪くてそのまま眼を覚まさないこのリアリティ、俺は今三途の川の対岸75メートルくらいの水面を船の上でゆらりゆらりと揺れている。そうか俺は既にこの世の住人ではないのか、否、既に俺が…

現実という非現実

真冬の校舎裏にうずくまっていると俺の眼の前をストロベリーパンティーが通り過ぎた為、まさかこれはひょっとして告白タイム開始の合図か、と勝手に早合点し近くの鉄棒で懸垂を始めたところ、ちょっと待ったぁ、の声が掛かり一人の男が腕立て伏せをしながら…

昼下がり

或る晴れた昼下がり、そして英国、俺が午後のティータイムにかこつけゴールデンバットを燻らせていると、ジョンキーツが俺の目の前に現れやがったのであって、折角だから世の中の現象について少しばかり語ることにした。まぁまぁ立ち話もなんだからどうぞ座…

本音と建前

ある時ある場所。俺とトモカとタカヲ、三人が仲睦まじく暮らしていましたとさ。 そして俺は鉄パイプをトモカの頭に向かってスウィング、そのまま倒れたトモカの柔らかくて美味しそうな眼球に鉄パイプを突き刺す、クチュクチュツルン。驚き目を丸くしその三秒…

広がる空

高い位置にいるカラスにやぁやぁこんにちわ僕は東京のとある中学校の三年生になったばかりなんですがちょっとばかしあなたが居る場所まで連れて行ってはくれないでしょうか、とお願いしたところ了承された。 BGM:TOP OF THE WORLD BG:夢が広がる夜明け前の…

火星人

ワルツ10番に合わせてラ・マンと踊りに耽っていると大きな地震が俺たちを襲った。地震と言うより、地鳴り、揺れよりも音が俺たちの鼓膜に突き刺さるように建物の中に響く。ラ・マンの腕を取り揺れと強烈なサウンド、そしてそれをさらに助長する音楽に身を任…

鏡の国の冒険

とにかくそろそろ俺の人生をカーテンフォールさせようと思い立ちエンパイアステイトビルの屋上に立ったはいいが、突然空からアリスが降ってきたのであって、俺は鏡の中に吸い込まれていった。普通の人間なら恐らく震え上がって失禁でもする状況だが今日の俺…

ジッパー

「ねぇまふみんはさ、恋したことある?」「いやない、そして恐らくこれからもないだろう。でももしかしたら愛することは有り得るのかもしれない。そんな気がする」「恋と愛か、その二つは何が違うのかな?」「さぁ実際のところ僕にもそれは判らないんだよ」…

エイプリル

上野から山手線で出発し秋葉原で総武線に乗り換え一駅つまり御茶ノ水でタイミングよく現れた前の中央線に乗る、そして新宿を通り過ぎたあたりであらかじめ持ってきておいたポカリスウェットを三口飲むんだ、そしたらそこからが俺たちの世界だよ、ようこそ虚…

悪魔の証明。

猫が鳴いたと思ってこの糞猫がぶっ殺してやるぜと息巻き殺虫剤とライター片手に探し回ってもどこにも居らず、よくよく考えてみるとと鳴いていたのは俺だった。 おいおい俺猫になってんじゃんでも俺殺虫剤とライター持ってるぜ、と自慢げにそれらを振りかざし…

雨に濡れる

最近よく電信柱の上に立って世界を見下ろしている。するとどうだ、知らず知らずのうちに涙がこみ上げてくる。いったいどうしてか、と自問してみるも答えは見つからず、この世界を憂えているのか、このちっぽけな俺自身の存在を嘆いているのか、それともある…

AS YOU LIKE IT

愛してるよ。という言葉を残して彼女が新宿の夜露と消えた日、旧ソ連に核が129個投下され、そして国ごと姿を消した。とにかくさ、あなたはどこか抜けてるのよ、判らないかな、時計塔の掃除をしている大男が歯車の隙間にモップを挟んでネチネチと引き込まれて…

エディチュール

火曜がやって来たので「くたばれ健康法」でもまた読もうかと思い仕方なしにページを繰ろうとしていたら、突然俺におよそトドかと思う程の巨大なボストンバックが襲い掛かってきたのであって、それを回避する為には「くたばれ健康法」を犠牲にする他は選択肢…

人間の塊

鋼鉄の国からやってきた転校生が俺の腕にひんやりとした腕を巻きつけてきて、君の柔らかいこの皮膚を少しばかり改造させてくれないか、と耳に妙に生暖く青白い息を吹きかけてきたので了承したところ俺も鋼鉄になった。 せめてアイアンマンよろしく俺のドリル…

頚動脈

スミス&ウェッソンのナイフであんたの頚動脈を切りつけようと思うんだが異論はないか、と質問された俺は仕方がないので、いいよ、と小さく答えた。弾性のある動脈がぷちぷちと音を立ててゆっくりと俺の身体のサイクルから離れていこうとする瞬間を俺は感じ…

蛆虫

ねぇ、今朝のことだよ、本当に今朝早くのことさ、起きたらねベットのシーツに血でこう書いてあったんだよ、そろそろいいんじゃないかい、ってさ、そしたら急に心臓が締め付けられて痛い痛いよ、叫ぼうとしても声がでなくてね、ふとよく見ると一匹の小さな鼠…

くたばれ健康法

人生の岐路に立たされてからこの方、俺は永遠に電車の中で座り続けているわけであって、奴が止まるたびに糞を吐き出しついでに更なる栄養物を取り込もうと必死になる様を見るにつけ俺はラジオ体操を始めるのだ。一時間半くらいの周期でぐるぐると回り続ける…

気泡。

するとどうだ、世界が分裂し始めたではないか。 はて、いったいどうするか、と考えていると、いつもはどこか遠い彼方を教室の端っこから眺めている委員長が、せめてこの気泡に乗って人生を謳歌しつつ叫ぶのがいいと思うよあまりロマンティシズムを語らない程…

エゴイスト

キスされたくない、と感じている。しかしキスしたい。例えばこうだ、俺が飼っている猫がじゃれてくる時、大抵奴はすぐさま俺の唇を奪おうとする。これは至って奴にしてみればたたじゃれているだけの普通の行為であって特に意味はなく俺の多少潤いの或る皮膚…

谷間の百合

背の高くて綺麗な女の子とセックスしたホテルからの帰り道彼女に聞かれた、ねぇ群れたい気持ちだとか孤独に成りたい気持だとかそういう感情っていったいこんな小さな人間の何処に詰まってるいるんだろう、って言葉が俺の頭の中をぐるぐると回りやがっている…

タマネギ・ソテ・ランデブ

世界はタマネギで出来ている、って誰かが言ってた。 誰だったか、と思い出そうとする。 *例えば【黄河下流が干上がっている理由】について考えたりする。 黄河中流では野菜栽培が盛んに行われており、それは主に日本などへの輸出用なのであって、その野菜の…