頚動脈

スミス&ウェッソンのナイフであんたの頚動脈を切りつけようと思うんだが異論はないか、と質問された俺は仕方がないので、いいよ、と小さく答えた。

弾性のある動脈がぷちぷちと音を立ててゆっくりと俺の身体のサイクルから離れていこうとする瞬間を俺は感じたよ。ぷちぷちっとな。だがな、貴様らはおかしいかと思うかもしれないが、そんな中で俺が覚えていることはたった一つしかないんだよ。血が真横に迸り白い壁に作品を描く間奴がナイフの刃を山吹色の刺繍の入ったハンケチで拭く姿だけなのだよ。

プシュー。

なぁドレイク、その刺繍が俺を少しづつ貴様のハンケチからするりと抜けていって俺の首を縫いつけようとしてくるんだ、俺の手足共々な。そいつをどうにかしてくれよ、そいつは少しばかり俺と相性が悪いんだ、あぁ、特に山吹色ってのはまずい、それがもしもっとずっと薄い色だったら話は違ったはずだ、なぁ、判るだろ?まだ薄い色だったら話は変わってきたんだよ。おいおい、今さら俺の気を惹こうたってそれは無理な話だよ、考えても見ろよ、いきなり貴様の頭をコンクリートの破片で殴りかかった女がそのあと包帯を巻いてくれたからってそいつを好きになれるかい?そいつは土台無理な話なん



そして液状化