現実という非現実

真冬の校舎裏にうずくまっていると俺の眼の前をストロベリーパンティーが通り過ぎた為、まさかこれはひょっとして告白タイム開始の合図か、と勝手に早合点し近くの鉄棒で懸垂を始めたところ、ちょっと待ったぁ、の声が掛かり一人の男が腕立て伏せをしながら好き好き大好き超愛してるっ、と辺り一帯に響くかと思われるほどの大声で叫んだのだけれども、答えは至って簡単、


ごめんなさい


現実はそう甘くはないのである。


二人で肩を並べ階段にたたずみ、今日は良い天気だな、うん太陽はでてないがな、ところで最近お前何やってたんだよ、いや貴様とは今日出会ったんだが、お前俺のこと好きか、嫌いだ、なんでだ、腕立て伏せをしながら愛の告白をする奴を好きなれるわけがない、お前だって懸垂してたじゃねぇか、死ね、死なないよ、消えろ、消えないね、腋臭、ぇっまじで、嘘、なんだ嘘かよ、嘘、ぇっ、等と会話を続けているといつの間にか夜が更けていた。

俺はそろそろ帰るよ、それだけ残して俺はその場を去った。黙々と西に向かって歩いていると、後ろから声が飛んできた。お、お前、良い奴だな!俺は少し立ち止まり、右手を軽く上げて挨拶をする。そしてまた俺は月を背に歩き出した。


家に帰ってから俺は「今日の教訓ノート」を取り出しペンを走らせる。


臭い奴とは関わるな。


色んな意味で。