2005-05-01から1ヶ月間の記事一覧

虚無への供物

例えば生きる意味の喪失を図る。 全てを失い、行動を起こす対象すらもいない世界、一切は無味無色無利益無感動に過ぎ去って往くその状態、周囲を陥穽で埋め尽くされ身動きは取れずレスポンスもままならないこの状況、生きるためだけに生き続けるという矛盾を…

作家別書籍所有率調査

今さらながら。 →作家別書籍所有率調査 所有していない作家は、五十人丁度でした。

彼女について 二

ヘリウム核が原子核融合を起こす、南極の氷が静かに融ける、子供の足が地雷で吹き飛ぶ、遠くで銃声が聞こえる、猫が足早に目の前を通り過ぎる、このリアリティ。夕方の歌舞伎町。 どういうわけだか知らないが、彼女はガムが好きなのであって、というよりもガ…

変身

日曜の清々しい空気が俺の頬を通り過ぎ、降り注ぐ陽光が瞼の下まで眩しい、強烈な日差しとアスファルトも溶けだす熱気、加えて庭の向日葵どもに水を与えなければいけないという義務感から仕方なしに体を起こす動作を試みるに、なにやら不思議な違和感が頭を…

百合属性

ところで、なにやら各所で小生の位置する中学生という要素が女子中学生はてなと呼ばれる無駄に淫猥な響きで興奮を促す儚き媒介を通じて流れている様子で、某所では年齢詐称疑惑まで出る始末、それが単なる無知を曝け出す所業と理解をしていながらもどこか遠…

19世紀

ムーランルージュの隅の席に腰掛けフレンチカンカンを眺めながら、俺はゆっくりと右手を掲げロートレックに乾杯、勿論宵の口にギムレットは早すぎる感が否めない故杯にはアブサン、パリに住む俺たちの相場は決まっている。 フレンチカンカンの舞台で舞う踊り…

一人の天才

村上龍と町田康、そして安部和重、この三方との類似性について先日指摘を受けたわけだが、一重にそれは正解であり、しかしながら不正解でもあるわけで、確かに類似性の面での否定は俺に出来るわけがないのだが、一つの観察点から観るに問題は影響、俺という…

ジャメヴ

前日まで俺は確かに絵を描いていた、その情報としての正確性は或る程度信頼でき、アトリエ内、俺の周りに居た何人もの友人らが、自らのたかが知れた力量で描いたような或る種吐き気を催す生臭い平板な口から漏らしたわけで、確かに俺は絵を描いていたらしい。…

ゆく河の流れは 絶えずして また元の水にあらず 盆の堤を越え止め処なく溢れる続ける液体は血。ゆっくりとそれでいて力強く、決して鉄砲水のように勢いがある訳でも津波のように一時の静けさが内在している訳でもない、それは宛ら大河の如し、何者にも阻むこ…

彼女について 一

それは七年も前のことになるが、俺という固体を作り上げてきた工場が閉鎖された時、俺はまだ物事の論理なるものが理解できておらず、死という一つの人間が存在する上での過程を考えるに至ってそれらを保持する器自体を忌むべきものとして扱っていたそんな時…

安部という文体。

生まれて初めてコメントを貰ったと思ったら、村上龍と町田康と安部和重を足して割ったような文章などと言われる始末、前者二人は一つの正解、しかしながら糞安部を足された俺の心を推し量ってもらいたい。奴が芥川賞とやらを受賞して俺が批判したいというわ…

ロートレック

ある日俺が電車の中で再び「くたばれ健康法」を読んでいると、椎名さんが俺の前で奇妙なダンスを披露してくれた。訝しがる俺を尻目にくるくる回る山手線の中、椎名さんは永遠と踊り続けた。三時間ばかりが経った頃、俺は「くたばれ健康法」を読了したのと、…

かメ人間などという、この腐っている世界の中でさらに自分自身の腐敗を進行させることを心に誓ったような異能の者が作り出す或る種の掃き溜めのような場所が俺という人間を刺激して止まないのであって、その「死」についてのアブストラクトな観念を考慮する…

カインドオブ

人生菫色宛ら夢の如し或る種一時の迷い止め処無く黄緑辛うじて高鳴る鼓動苦しむ蟋蟀浮れる褒め殺し憂うは俗世の様敵は一太刀鋼鉄の春煌く春雷瞬く鞘口放つ虹彩眼は潰されるべきで芽は摘むべき女々しい狐と雄雄しい踝そして世の中語るに易し行うに難し或いは…