気泡。

するとどうだ、世界が分裂し始めたではないか。
はて、いったいどうするか、と考えていると、いつもはどこか遠い彼方を教室の端っこから眺めている委員長が、せめてこの気泡に乗って人生を謳歌しつつ叫ぶのがいいと思うよあまりロマンティシズムを語らない程度にね世の中が糞だって事を叫ぶといいよ、と奇妙な独り言をぼそぼそと垂れ流し続けていたのでこれは大変じゃない坊やと教室が騒がしくなった頃、兎の飼育係ジェノサイド森田が突然バタフライの着信音とともに踊りだしそして首を吊って死んだ。

神様が言ったよ、首を吊ったのは森田じゃないお前自身だよ。

そうか、俺か、俺が首を吊ったのか。よく見ろよ貴様、俺の視点でよく見てみろよ、どうにも俺は地上一尺のところを浮いてるのだよ、プラプラとな。パタパタとな。鬱血して紫になった腕を振り回して俺はプラプラパタパタ浮いてるわけなのだよ。誰もが高みに居る俺を羨望の眼差しで見つめてくるのだよ。

だがな、分裂する世界の中でそれはたった一つの意味すらもないのだよ。ただ少しづつ膨張したり縮んだりとする俺たちの中で少し高いところに居るだけなのだよ。それには全く以って付加価値など存在しないのだよ。

ところでこの俺の身体の中をゆっくりとそれで居てフラットに昇ってくる気泡どもはいったい何者だ?