妄想性

生きるという或る種の感覚において、俺の意思は必然的に無視される。

それは俺が特別な存在であり続ける為には―それが普遍的に自己満足だったとしても―絶対的に必要なものであって、単なる一つのツールとしての意味合いだけではなく、物事の根本原理を追求する人生においての無根拠な情報媒体という形態をも持ち得るのだ。

例えばある日俺が崖から落ちたとき、貴様は俺の手を取り俺を崖という名のあの世への入り口から救い出した、それは一つの結果で俺は現在この場所に存在している、しかしながらそれは、俺が貴様の手を取り俺自身を救い、尚且つ直角という観点から察すると、俺が貴様を一つのフィールドとしての崖の反対側に救いきれなかった、そして俺と貴様は死んだ、そう取ることも可能になる。

つまり感覚を頼りにするならば、俺と貴様は既に死んでいるのだ。


簡単に言えばこうだ。

どうしようもない虚脱感と救いようのない不条理性を永遠と背負い続ける俺は平たく言えば人生の敗北者と称するに相応しいようなのであって、しかしながらそれは、どうやら神様からの俺の唯一のプレゼントでもあるという一つの矛盾性を抱えており、故に俺はいつまで経ってもオブセッションという武器を心に持ち続けることになったのだ。

一つの妄想性。